川へ2014年04月04日

 力強い朝日が川辺の柳で

 長い影をつくる午前七時

 モノクロームの世界に

 やわらかな艶っぽい起伏があらわれて

 「ゆきをんな」が眠りにつき

 やがて少しづつ川の水へと姿を変えてゆく

 春なのです。

薪ストーブ2014年04月06日

 
春になったと思ったら

またしても薪ストーブのお世話になった。

薪ストーブだから木を焚く

かつて家だった木

かつて家具だった木

庭木だった木

街路樹だった木

邪魔におがった木

ありがとう。      あったかーい。

桜はまだ遠く2014年04月07日

「ほどのう太夫がまいりんす」

禿が可愛く挨拶に来ましたが、

暫し太夫は気配も見えません。


じらされて まつほどこひし さくらかな

流れ2014年04月09日

 流れとは

 川幅が狭ければ勢いを増し

 広ければゆったっりと流れる。

 田舎暮らしで

 歩くのがすっかり遅くなった。

 これはただの老化か。

椅子という名の女2014年04月10日

 
 遊び人の先輩たちが
 
 「女」をモチーフにいろんなイスを作っています。

 その中でお気に入り

 これはベネチアで見つけた飾り窓の女。

 遠くを見つめる憂いを含んだ眼差しは

 いつかどこかで

 窓に背を向けて置いてくれる人を夢見て

 世界中から訪れる異邦人の

 誰かを待っているのです。

観音岩山2014年04月13日

 朝な夕なに仰ぎ見る

 通称「八剣山」

 標高498Mの低い山です。

 登山口で既に200M位ですから

 子供でも1時間足らずで登れます。

 尾根道の狭さと険しさが

 爽やかな緊張感を覚えます。

 夏には登山者のみならず

 国蝶オオムラサキを求めて

 白いネットが翻ります。

古道具2014年04月15日

 骨董ではなく古道具である

 五十年位前の物だろう
 
 温泉街の置屋で使っていた

 僅かなぬくもりに心を許した女郎がいた

 今、仄暗い部屋で鈍い光沢を放つ

 人とともにあった道具の

 存在と言う

 したたかな重さが伝わってくる

真骨頂2014年04月17日

 妄想癖のある人ほど

 映画が好きだね

 その時自分は

 男でも女でも犬にでも猫にでも

 果ては家具にまで変われる

 そうだ江戸川乱歩の

 椅子男なんてのもあったね

 手づくりのマイシアターで観る昔の映画

 これは「ガス燈」

 スクリーンに入ってしまおうか

 「カイロの紫のバラ」みたいに

鯉の季節2014年04月18日

 青空に気持ち良く鯉のぼりが泳いでいる

 風を孕んで踊る鯉のぼりは

 本物よりもリアル

 本物はこんな感じ

 人間じみてる

 
 北海道は鮭のぼりにしたいなぁ

 龍にならなくてもいいから

にっくき猫2014年04月20日

 近頃の猫は酷寒の冬が大好きである 
  
 「のら」か「かい」かは知らねど

 どんなに大雪でも吹雪いても

 ちゃんと足跡がついている

 それだけなら可愛い

 動物は好きな方だ

 しかしマーキングは困る

 薪が臭い

 やっと冬が終わって薪を使わなくなった頃

 彼もいなくなる